2006年12月24日
トナカイの秘密・・・・・・

むかしむかし、ルドルフというなまえのトナカイがいました。ルドルフは世界でたったいっぴき、赤い大きな鼻をもつトナカイでした。ですから、みんなから「赤鼻のルドルフ」とよばれていました。
ルドルフはじぶんの鼻が大きらいでした。みんながじぶんの鼻を見て、大わらいするからです。
「やーい、赤い鼻、赤い鼻。ルドルフの鼻は、まっかっか!」
こう言われるたび、ルドルフはいつも泣いていました。
「ぼくはみんなとちがう。どうして赤い鼻なんだろう。どうしてみんなとちがうんだろう。こんな鼻、なければいいのに。」
こんなルドルフを、かぞくはみんなかわいそうに思いました。けれども、どうすることもできなかったのです。ルドルフのもって生まれた赤い鼻は、ずっと赤い鼻のままなのですから。
ある年のクリスマスイヴのことでした。サンタクロースはでかけるじゅんびをしていました。あのダッシャー、ダンサー、プランサー、ヴィクセン、コメット、キューピッド、ダンダー、ブリクセムのはっぴきのトナカイをつれて、せかいじゅうをまわるたびのじゅんびをしていました。はっぴきのトナカイをそりにつないで、そりのなかにおもちゃをたくさんつみこんで、もういつでもしゅっぱつできるようになりました。ほかのトナカイたちもみんな、サンタクロースとトナカイたちを見おくろうとあつまっていました。だって、サンタクロースのトナカイは、トナカイみんなのヒーローなのですから。どんなトナカイも、いちどはサンタクロースのトナカイになりたい、と思うくらいです。
しかし、たいへんなことになってしまいました。夜になるにつれて、とつぜん、きりがあたりいちめんに立ちこめてきたのです。やがて、きりはちきゅうぜんたいをつつみこんでしまいました。
「しまった、これではえんとつがどこにあるかわからんぞ! みんなにプレゼントをわたすことができない!」
サンタクロースがさけぶと、みんなそわそわしだして、どうすればいいかわからなくなってしまいました。
そうしてみんながこまっていたとき、ルドルフはひとり森の中にいました。みんなの前に行きたくなかったからです。サンタクロースの見おくりに行くと、赤い鼻を見られて、みんなにわらわれてしまう、と思ったのです。かぞくもみんな行ってしまいました。そんなとき、見おくりに行ったはずのいもうとがかえってきて、ルドルフに言いました。
「お兄ちゃん、サンタさんのお見おくりに行こうよ。もうしゅっぱつしちゃうよ。」
ルドルフはさいしょはいやがりましたが、いもうとがなんどもしつこく言うので、ついにはあきらめて、サンタクロースの見おくりに行くことになりました。
ルドルフはびくびくしながら、みんなのあつまるところへ行きました。すると、やっぱりみんなはざわざわとさわぎはじめました。来るんじゃなかった、とルドルフは泣きそうになりました。
そのとき、サンタクロースもみんながさわいでいるのに気がつきました。
「どうして、みんなさわいでいるんだい?」
と近くのトナカイにたずねました。
「ルドルフ、赤鼻のルドルフが来たんです。」
とトナカイはこたえて、ルドルフのいるほうに鼻をむけました。サンタクロースはルドルフを見るなり、たいへんびっくりしました。ルドルフの鼻が赤かったからです。どんなものよりも明るくて、ぴかぴか光る赤い鼻だったからです。
「これでだいじょうぶだ、ルドルフの鼻があれば、こんなにふかいきりの中でも、えんとつのあるばしょがわかるぞ!」
とサンタクロースは思いました。サンタクロースはいそいでルドルフのいるところへ行きました。ルドルフはびっくりしました。なにせ、目のまえにサンタクロースが来たのですから。
「ルドルフくん、わしたちといっしょに、世界をまわってくれないかな。」
とサンタクロースは言いました。
「でも。」
ルドルフはどうしていいかわかりませんでした。じぶんにまったくじしんがなかったのです。みんなとちがうじぶんに、いったい何ができるのか、と思うと、へんじができませんでした。
「でも、ぼくは赤い鼻のトナカイで、みんなとちがいます。」
ルドルフの目は、なみだでいっぱいでした。
「ぼくは赤鼻のトナカイなんです!」
ルドルフは言いました。けれども、サンタクロースは言いました。
「そうだ、きみは赤鼻のトナカイだ。みんなとはちがう。でも、だからすごいんだ。きみのぴかぴかの赤鼻は、みんなとちがうけれど、くらい夜道をてらすことができる。だから、やくに立つんだよ。」
「ぼくが、やくに立つ?」
とルドルフがききました。
「そうだ、やくに立つんだ。さぁ、こっちに来てくれ。」
サンタクロースはルドルフをつれて、そりのところまで行きました。ルドルフをはっぴきのトナカイのまえ、いちばんまえのところにつなぎました。
サンタクロースはそりにのりこみ、さけびました。
「おい、ダッシャー、ダンサー、プランサー、ヴィクセン! そら、コメット、キューピッド、ダンダー、ブリクセム――そして、ルドルフ! やまをこえて、うみをこえて、ゆくぞ、ゆくぞ、そらゆくぞ!」
サンタクロースときゅうひきのトナカイはとびたちました。
「がんばるぞ、ぼくはがんばるぞ!」
とルドルフは思いました。はりきって、赤い鼻でまえをめいっぱい明るくしました。まえが見えるように、えんとつが見えるように。きりだけではなく、雨がふっている町もありました。雪がふっている町もありました。みぞれがふっている町もありました。けれども、ルドルフの鼻のおかげで、どんなえんとつも、どこにあるかはっきりわかりました。ルドルフのおかげで、その年のクリスマスイブ、みんなにプレゼントをとどけることができたのです。
ルドルフは、この夜から、いちばんゆうめいなトナカイになりました。それだけでなく、みんなのいちばん大好きなトナカイになりました。さいしょは、はずかしかった大きな赤い鼻だけど、いまではみんなのあこがれです。その年のクリスマスイヴからいままで、ずっとルドルフはきゅうひきのいちばんまえにいます。そしてたのしく、げんきに、まえを明るくてらしているのです。
※ 今では、ルドルフの赤い鼻から出る熱を探知して、毎年クリスマスイヴの日に、サンタクロースが今どの国にいるのか、レーダーで追っているそうです。
http://www.noradsanta.org/
Posted by セレブレンタカー at 18:50│Comments(0)
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